18.哀しいおもちゃのピアノでダイアトニックを知る

前回、前々回のように「上手な人が何気なくやっているテクニック」を盗んじゃおうっていうアイデアはいかがでしょうか?

こういったことこそ、ジャズピアノの練習方法としては王道って気もするんですけどね~ あまり教則本などでも見かけない、ちょっとマニアックな練習方法になってしまったのかもしれません。

ということで、もっと簡単で、そして音楽の本質に迫るような内容のほうがいいですよね。 とは言ったものの今回は何にいたしましょうか~ いつも無計画に、いきなりペシペシとパソコンのキーボードを打ち始めてから考えるので~

ん~窓の外は雨か~(と、ここで窓をつたう雨粒から回想シーンに入ります)

私は4~5歳くらいの子供の頃、雨が降って外で遊べないと、よく部屋の片隅でおもちゃのピアノを弾いていました。 ちょうど、スヌーピーに出てくる、え~と誰だっけ、いつも床に座ってピアノを弾いている、え~と、そうそう確かシュローダーって名前だったかな~(間違ってたらごめんなさい) そう、そんな感じで弾いていたわけですよ。

でも、今思えばその「おもちゃのピアノ」ってのは、なんとも哀しいものでした。 見た目は色が黒で、6cm程の脚もちゃんとついていて、グランドピアノをものすご~く小さくしたような形でしたが~ でも、黒鍵が無いのです。 正確に言えば、黒鍵があるべき位置には、黒鍵が描かれているのです。

おもちゃのピアノ

そう、こんな感じ。

黒鍵がないので、この黒い部分を押すと、2つの白鍵が同時に鳴ります。 まあ、黒鍵という言葉も存在も知らないので、そういうもんだと思っていました。

そんな、実質的に白鍵だけのおもちゃのピアノで、童謡やアニメ主題歌、CMソングなんてのをよく人差し指だけで弾いていました。

楽譜なんて持っていませんし、どこが「ド」なのかさえ知りません。 ひたすら「頭の中にあるメロディの音が鳴る鍵盤を探す作業」を繰り返していました。

しかし、どうしても弾けないメロディがあるってことに気が付くのです。 というか、黒鍵が無いので、どうしても出ない音があるから当たり前なんですけどね。 それでも、メロディの開始位置をいろいろ変えて、例えば「ド」から始めたり、「ソ」から始めたりとか、なるべく弾きやすい所を探していました。 とにかく、「メロディをなんとか弾きたい」っていう思いだけです。

今の私なら、キーが「 C 」か「 Am 」だな~とか考えながら弾ける曲を探しますけど。 でも、そんな知識とか無くっても自然にできるもんなんですね。 漠然とですが、なんか規則的なものがあるってことを感じていました。

ということで、今回のお題は「ダイアトニック」です。

まあ、簡単に言えば「ドレミファソラシド」のことなので、そんなに難しいことではありません。

ダイアトニックスケール

ダイアトニックスケールなんて言ったりもします。 ちなみに、この音列は、「メジャースケール」とか、(そのうち説明すると思いますが)チャーチモードのイオニアンスケール(アイオニアンスケール)と全く同じです。

では、なぜ「ダイアトニック」なんて言葉を使うのか?ってことです。 まあ、「言葉」なんてぇものは、そもそもその言葉の指し示すものと、それ以外のものを区別するときに使うもんですからね~

わざわざ「ダイアトニック」って言うってことは、同時に「ダイアトニックではないもの」も意識しているということです。 つまり、「ダイアトニック」に対しての「ノンダイアトニック」ってことです。

例えば、キー「 C 」のノンダイアトニックノートは、「レ♭、ミ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭」ということになります。 この場合、白鍵がダイアトニックで、黒鍵がノンダイアトニックなので、ものすご~く分かり易いです。

では、キーが「 Bb 」だったらどうでしょう?

この程度で考え込んでいては、も~どうにもなりませんよね。

B♭ダイアトニックスケール

「ミ」と「シ」に♭が付いているってところがポイントです。 この場合、ダイアトニックノートは、「シ♭、ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ」で、 ノンダイアトニックノートは、「シ、レ♭、ミ、ソ♭、ラ♭」です。 キーがCのときのような、黒鍵と白鍵での単純な分け方はできません。

とにかく、「ドレミファソラシド」って聴こえるのがダイアトニックノートです。 そうです。私は、絶対音感がないので、どこからでも「ドレミファソラシド」って聴こえるのです。

逆に、ドレミファソラシドから外れて聴こえるのが、ノンダイアトニックノートってことです。

そして、そのダイアトニックスケールから導きだされたものが、「ダイアトニックコード」ということになります。

Cダイアトニックコード

これは、キーがCのダイアトニックコードたちです。 難しそうに見えますが、押さえるのはすご~く簡単です。

まず、 Cmaj7 を「ドミソシ」って押さえます。 白鍵だけで、「ド」から1個置きに押さえればいいので簡単ですよね。

その「1個置きの手の形」のまま、「レ」から押さえれば、 Dm7 です。

「ミ」から押さえれば、 Em7 です。

そんな調子で、7つのコードを押さえることができます。

ダイアトニックの説明は、キーがCだと白鍵だけなのですご~く楽でいいです。

で、このダイアトニックですが、巷(ちまた)にあふれている音楽の大部分はこれを基に作られています。 1曲の中でも、ほとんどのコードが、このダイアトニックコードです。(言い切りますね~ほんとに) 中には、ダイアトニックコードだけで作られている曲もある程です。

ということで、いかにこの「ダイアトニック」という知識が役に立つのか想像できると思います。

例えば、曲を「耳コピ」するときに、ある程度コードの予想ができたらどうでしょうか?

そして、曲を覚えるときにも、コード進行を「無秩序に並んだ記号」として覚えなくていいとしたらどうでしょうか?

ということで、音楽の自然な流れのダイアトニックノートでできたメロディに、ダイアトニックコードによるハーモナイズ(和音づけ)がものすごく合うのは当たり前のことなのです。

でも、人というものは、そんな自然なものばっかりじゃ飽きちゃうんですよね~ だから、ちょっとしたスパイスが欲しくなるのです。

  • ザルソバには、ネギとワサビ。
  • ラーメンには、こしょう。
  • カレーには、いろいろな香辛料。

で、ダイアトニックの中に、ノンダイアトニックを少し混ぜるわけです。

ということで、次回もこの続きでしょうか? 多分、続きでしょうね~

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