ピアノを買って退路を断つ

今回は、私がピアノを買ったときの話をします。 いい歳をしたおっさんが、自分で弾くためのピアノを買うのですから、タダごとでは済まされるはずもありません。 なんだか一波乱も二波乱も起こりそうな予感がいたします。

~と、つい調子に乗って、話のハードルを上げ過ぎてしまいました。 でも、こんな書き出しだとちょっとドキドキしますよね。 実際は、大したことない話なのでお気軽にお読みください。

それまでの私は、シンセサイザーやキーボードを適当に弾いて遊んでいました。 でもある日、突然に「ジャズピアノ」を弾いてみたいと思ったのです。 かなり昔のことなので、何を見たのか、何を聴いたのか、今では何がきっかけになったのか思い出すことはできません。

とは言っても、私はピアノを持っていません。 気軽に弾かせてくれる人もいません。 つまり、買わなくてはならないということです。

でも、そんな簡単に買えるもんじゃありませんよね。 小さなキーボードとかなら、弾かないときに押入れに仕舞っておけるけど、ピアノはそういう訳にはいきません。 やはり、買うからにはそれなりの覚悟と決断が必要です。 いくら計画性ゼロな私でさえ、こんな高くて大きなものを衝動買いなんかできません。 「買おうかな」、「やめようかな」、なんてのを100回以上繰り返しました。

最終的に、買ってしまえば、「途中でやめられない状況が作れる」と考えることで、決着をつけることができました。 で、楽器店に走って行き、「こ、こ、これください」と言ったのです。

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さっきから私が「ピアノ」って言っているのは、いわゆる「デジタルピアノ」とか「電子ピアノ」と呼ばれる種類のものです。 本当なら、「グランドピアノ」や、せめて「アップライトピアノ」などの、本物の生ピアノのほうが良いのは分かっているのです。 と、何気に、「本物」とか「生(なま)」とか言ってますが、これが普通の「ピアノ」なんですよね。 ところが私は、そんな普通のピアノが弾けるような恵まれた環境ではありません。

とにかく、初心者のうちは、反復練習のような、他人に聴かせられない音をいっぱい出すことになります。 そこで、ヘッドホンが使えるデジタル(電子)ピアノが良いのです。 一昔前と違って、音もタッチもかなり本物に近くなっています。 年に何回かの調律がいらないし、省スペースで、値段も安いし、本当に良いこと尽くめです。 それどころか、私など深夜にしか練習しないので、これがなかったらピアノも弾いていないし、このサイトも存在していないでしょう。

そう言えば、昔「電気ピアノ」とか「エレクトリックピアノ(略して、エレピ)」と言う鍵盤楽器がありました。 と言うか、今でもあります。

エレピと言えば、RHODES(ローズ)とか、Wurlitzer(ウーリッツアー)が有名です。 結構、聞けば「あ~あれか」みたいなものです。 映画「ブルースブラザース」の中でレイチャールズが弾いているのがローズです。 ウーリッツアーはカーペンターズの曲でよく聞くことができます。

仕組みは、鍵盤の数だけ大きさの違う金属片があって、それをハンマーで叩き、ピックアップで拾うという構造になっています。 実は私もローズを一時期所有していたことがあるので、構造とか弾き心地とかよく知ってます。 まあ、ピアノというよりは、「エレピ」というジャンルの楽器です。 そうそう、ユーミンの「海を見ていた午後」なんかにも、イイ感じに使われています。(多分、ローズだと思います)

次に、電子ピアノの登場です。 金属片や弦などを使わずに、電気的に作った音の波を加工してピアノのような音を出します。 初期のものは、値段が高い割りには、現在の1万円以下で買えるキーボードにも遠く及ばない代物でした。

そして、今の主流がデジタルピアノです。 「音が良い」って思えるのは、本物のグランドピアノをサンプリングしているからです。 以前は、デジタルピアノと電子ピアノを分けていたように思うのですが、最近は電子ピアノって呼んでいるようです。 まぁ、電子式には違いないですからね。 プロのミュージシャンでさえ、自宅での練習に使っている程です。 もう、そのレベルに達しているってことなのでしょう。

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たいして上手でもない私ですが、こんなサイトやってるので、「どんなピアノを買えばいいでしょうか?」って訊かれることがあります。

「私は、ピアノの先生じゃないので分かりません」って言ってしまえば済むことですが、よく考えたら本物の生ピアノの事ではないことに気が付きました。 それなら、今までの経験で、参考になる程度のことなら言えるかもしれません。

まず、一番考えなくてはいけないのが意外にも設置スペースのことです。 ピアノが家に運ばれてくると、思っていた以上に大きいので驚きます。 私も、現在使っているヤマハのクラビノーバが家に運ばれてきたときには、いっきに部屋の中が狭くなって「こんなはずじゃ」って思いました。 充分に設置スペースが確保できるようでしたら、アップライト型ピアノをかなりコンパクトにしたようなデザインの「スタンド一体型」を置くことができます。 もし、そうでなかった場合は、弾かないときに部屋の片隅に立てかけておいたり、ベッドの下に入れておいたりできる「スタンド分離型」が便利です。 これは専用のスタンドもありますが、机やテーブルの上に乗せて弾いたりできるところが良いのかもしれません。

それから、「タッチ」もかなり気になるところです。 押したときの鍵盤の重さだけではなく、離したとき戻る速さが、ピアノによってほんのわずか違います。 黒鍵の角に丸みがあったり、白鍵の色が薄く黄色がかっていたり、ちょっとザラつく素材でできていたりと、もうキリがありません。

一番良いのは、本物のピアノに近いものって思うかもしれません。 しかし、グランドとアップライトでも違いがあるし、同じメーカーのものでも1台1台違うのです。 いったい、どこを基準にすればよいのでしょうか。

結局は「好み」ってことになるのですが、これからピアノを始めようとしてるのに、そんなこと分かるはずはありませんよね。 で、「こんな方法はどうかな?」って考えたことをお話します。

まず、ピアノがたくさん置いてある楽器店に行きます。 多分、「試奏される場合は店員にお申し付けください」とか書いてありますが、鍵盤を軽く触るくらいは許されるはずです。 すると、店員さんが近づいてきて「何かお探しですか?」とか声を掛けてきます。 そこで、変に知ったかぶりしないで「実は~」って正直に言っちゃえばいいんです。 で、「音やタッチが、本物のピアノに近いのはどれか」とか「人気なのはどれか」みたいなこと訊いちゃえばいいのです。 あと、買った場合の配送料とかも、なにげに訊いておきます。 そして最後に、「ちょっと考えます」と言って家に帰ります。

ご自宅の部屋で、ゆったりと冷静な気持ちでネットを見てみましょう。 サイズも調べることができるので、私のようにピアノが来てから慌てて家具の配置を変える必要もなくなります。 もしかすると、同じ物でもネットの方が安かったりするかもしれません。

「じゃ~、楽器店なんか行かずに、最初からネットでいいじゃん」って思うかもしれません。 でも、実物を見るのと見ないのでは、全然違います。 見れば、部屋の中に置いてあるイメージだけでなく、弾いているイメージも湧いてきます。

よく、宣材写真にありますよね。 南向きの明るい部屋、落ち着いた色あいのカーテン、おしゃれな調度品、部屋の隅には観葉植物。 そのなかに、ピアノが置いてある的なヤツ。

それを見て、そのピアノを買ったとしても、その部屋ごとついてくるわけじゃないのです。 所帯じみた生活感のある雑多なものが置かれた部屋にピアノはやってくるのです。 観葉植物なんて、カポックは大きくなり過ぎるし、ゴムの木は葉っぱが全部落ちて何の木だったか判らなくなるし、カニサボテンは水をあげ過ぎて腐るのです。 って、私のことはどうでもよいのです。

さらに、ついでの私ごとですが。 最近、ピアノの鍵盤で中ほどにある「ファ」と「ソ」の弾いた感じに、ほんの少しだけ違和感があるのです。 確かに、もうかなりの年数を、私の修行のような過酷な練習にも耐えてくれていたので仕方のないことです。 まぁ、今すぐってわけではないにしても、いずれは買い替えるときが来るのかもしれません。

そんなわけで、最近少しだけネットを見ていました。 たくさんありますよね。 有名なメーカーとしては、ピアノの老舗、ヤマハ、カワイ。 シンセサイザーで有名なローランド、コルグ。 多機能なキーボードで有名なカシオ。 といったところでしょうか。 機能なんかも、私が買ったときとは比べ物になりません。 多分、音も違うのでしょう。 本当にどれを買ったらよいのか、私が教えてもらいたいくらいです。

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