2.テンションコード左右別転回形
今回は、とても辛い荒行なので、テンションコードをどうしても覚えたいという強い動機が無いとできないかもしれません。 一言で言えば「左手と右手で、それぞれで違う転回形の4声のテンションコードを、クローズボイシンで押さえる」っていう練習です。 まあ、言葉で説明すると複雑なのですが、実際はそれほどではありません。
練習の方法
例えば、Cmaj7をCmaj7(9)で押さえるとします。
まず、左手は「3,5,7,9」で押さえます。 4声なので、1度(ルート)は省略(押さえないように)します。 この度数を実際の音にすると、「ミ、ソ、シ、レ」ってことです。
右手は「7,9,3,5」で押さえます。 つまり「シ、レ、ミ、ソ」ってことです。 そう、左手で押さえた構成音を、半分から転回させたものを右手で同時に押さえるのです。 このとき、右手は左手の邪魔にならないところというか、1オクターブ程上で押さえます。
Cmaj7の次はFmaj7、その次はB♭maj7というように、5度圏の順でGmaj7までの12コ全て押さえていきます。 ついでに、Cmaj7を押さえて、そこから5度圏を逆にたどっていきます。 Cmaj7、Gmaj7、Dmaj7・・・Fmaj7
次に、左手と右手の転回形を交換します。 つまり、左手で「7,9,3,5」、右手で「3,5,7,9」を押さえるということです。 そして、同じように5度圏、逆5度圏で押さえていきます。
最初は、かなり辛いはずです。 1つのコードから次のコードへ行くときに、しばらくその姿勢のまま固まってしまうかもしれません。 まあ、私がそうでしたから。そうですね~5分くらい、じ~っとしていたでしょうか。
でも、人の学習能力ってのは凄いもんだな~って思います。 最初は一通り終わるのに、1日がかりでも済まなかったものが、3時間になり、1時間になり、10分になり、いつのまにか30秒程度です。
その他の種類のコードは、以下に構成音だけを説明しますが、maj7と同じ要領で押さえていきます。
m7(マイナーセブンス)は、m7(9)で押さえます。
これは、Cm7(9)です。
1度(ルート)を、省略し「♭3,5,♭7,9」と「♭7,9,♭3,5」で押さえます。
7(ドミナントセブンス)は、7(9,13)で押さえます。
これは、C7(9,13)です。
1度(ルート)と5度を省略し「3,13,♭7,9」と「♭7,9,3,13」で押さえます。
7(9,13)を覚えれば、7(#9,♭13)を覚えたも同然なのですが、これについては別の機会に詳しく説明します。
m7♭5(マイナーセブンスフラットフィフス)は、m7の5度が♭しただけのものと考えると、それほど難しくありません。 m7♭5(9)で押さえます。
これは、Cm7♭5(9)です。
1度(ルート)は省略して、「♭3,♭5,♭7,9」と「♭7,9,♭3,♭5」で押さえます。
とりあえず、この4種類(maj7,m7,7,m7♭5)のコードが押さえられれば、かなりのことができるようになります。
確かに、最初はものすごく辛くて泣いてしまうことでしょう。 「絶対に、こんなのできないよ~」って思うかもしれません この練習方法を考え出した私でさえそう思ったのですから仕方ありません。
でも、それが不思議なことにできるようになるのです。 しかも、最終的には上の全てこなしても、3分もかからなくなるのです。本当です。 そうなると、もう練習前の軽いウォーミングアップみたいなものになっちゃいます。
練習のポイント
- 右手と左手で同時に弾きます。
- 鍵盤の中ほどの弾きやすいところを使います。だいたいのところで構いません。
- コードは、5度圏、逆5度圏の順で押さえていきます。
- この練習は、手でコードの形を覚えることのみに専念します。(ローインターバルリミットなどは考えなくても良いかもしれません。)
- 覚えることが重要なので、譜面やコード表などを見ないで弾きます。
- 「しーめじゃーせぶん」のように弾いているコードを声に出します。
練習の効果
- 右手でも左手でもクローズボイシングのテンションコードが、しかも2つの転回形で弾けるようになります。
- バッキングのときに、コードの押さえ方が分からないということが少なくなります。
- コードの構成音が瞬時にイメージできるようになります。
- 両手で同じ転回形を弾くことなど、もう既になんなくできるようになっています。
- 両手で押さえるオープンボイシングへの応用が可能です。(方法は、別の機会に説明します。)